BEACH PARKS CRAFTS | VISSLA’S 2024 SHAPING SPACE



Vissla’s 2024 Shaping Space | ʻEhukai Beach Park, Oahu





昨年末、VISSLA本社がクリスマス休暇に入る2日前に電話が鳴った。WSLからだ。
「1月にハワイで開催されるWSL Pipe Pro presents by Lexusに来てほしい。そしてエイウカイ・ビーチパークで地元の若いハワイアンシェイパーも作業できるシェイピング・スペースの設計と施工をお願いしたい。設計のアイデアと必要な見積もりを出してくれないか。」

ハワイへのフライトは飽きることがない。まずその色に目を奪われる。何マイルも続く青。広がる緑豊かな風景。到着時は風が強かった。
コナの風だ。この風は旅の大半の間、強く吹き続け、降雨量も多かった。

今回のアイデアは、WSLでトップアスリートを支えているCTシェイパーをサポートするというものだった。
大会のLIVE放送の間にも影響力のあるハワイメーカーのインタビュー動画を挟み込んでいく。
Matt Biolos(昨年タイトルを獲得したMayhem)、DHDのDarren Hanley、CIサーフボードのBritt Merrick、シャープアイのMarcio Zuoviなどが登場した。

我々はハワイの地に降り立った。最初にインタビューに応じたのはGlen Pang。長年の経験を持ち、フレンドリーで安心感のある男だ。象徴的なエアブラシのアートワークと陰陽のロゴを見るとサーフィンがしたくなる。そのおかげで私たちは一生忘れられない波と、長く続く興奮を手に入れたんだ。

東へ向かうとTokoroチームが歓迎してくれ、仕事や家族の近況報告の話で盛り上がった。Kerry TokoroとGen Asanoは、世界最高峰である今大会のために日々の仕事を着々とこなしていた。

続いてはEric Arakawaの工場に足を運ぶ。何度か行ったことがあるが決して飽きることはない。彼はいつもその時に取り組んでいることを快く教えてくれる。日も暮れ時間も遅くなっていたが、彼が出してくれた一杯のコーヒーを断りたくなかった。彼はDick Brewerのマグカップに入れてそれを持ってきた。小さく、ゆっくりと半分うなずきウィンクをした。彼は笑顔で「君のためにそのマグカップを選んだんだ。」と言い、私たちは彼のシェイピングベイで夜深くまで会話を続けた。

John Pyzelと待ち合わせ。彼は疲れ切った表情で時間に遅れてきた。仕事で忙しくしていたようだ。「遅れて申し訳ない。サムスンのために私のベイで大きな撮影を終えたばかりで、大勢の人がいる中で窓を全部閉め切ってマシンをかけていたんだ、、、」そう言いながらも一息つくと、彼はデザインのアイデアや今後の天候や波について語り始め、頭の中はサーフィンへの考えで満ちあふれていた。

-------------


テント状の構造物を中心にシェイピングスペースをデザインした。設営は大変だったが、私たちは何より作業場として快適で、来てくれた一般の人々も見やすい造りにしたかった。照明はスポットで照らしながらも、暗い部屋が望ましい。そして目前でパイプラインを眺めながらボードをシェイプし、老若男女の見物人にクラフトマンの作業やその技術を披露する。

開催期間中、待ち時間にも柔軟に対応し何日も待機してくれたシェイパーたちには感謝している。

私たちはこの期間を通して、各シェイパーの実践的なアプローチを観察し、多くの人たちと分かち合うことが出来た。
時には基本に戻ることで発泡スチロールやグラスファイバーが何なのかから説明することもあった。




-------------


サーフィンは実に多様な人々を魅了する。
遠く離れた国から来た人々もサーフィンへの興味は本物であるが、
それでもまだサーフィンが持つ魅力の神髄の深さは計り知れないものがある。

サーフィンもシェイピングも人生のパーツなのだ。
全ての歩みがそうであるように、
探求して積み重ねてきた時間には深みがあり、無限の魅力がある。


-------------


以下、イベントに参加したシェイパー達。
※順序は出場順


カマレイはナロー・フルノーズのパラレルスワローツインを愛用している。
彼とデザインについて説明したり、作業時の感覚について意見を交わしたりするのはとても楽しい時間だった。
初めはブランクを見ても何も感じなかったのが、新たな視点を身に付けてからまたブランクを見る。そこに以前には無かった何かを感じることが出来たのであればそれは素晴らしいことだ。




彼は物静かな男で、騒ぐことなく落ち着いて作業に取りかかって
た。左右非対称のパフォーマーを仕上げるため、細心の注意を払って進めていく。帰りは家族とサイクリングロードを歩いて帰宅。ベビーカーの荷台にはカンナと工具。彼の家の目の前で素晴らしい波が割れる。この期間中は何度も一緒にサーフィンをした。




このスペースでロングボードに命が吹き込まれるのを見るのは楽しかった。大きなボードにはシェイプオフするものがたくさんある。ハワイアンカーブのトラディショナルなシングルフィンのノーズライダーも素敵だった。カーソンがこのシェイピングスペースで私たちみんなと分かち合ってくれたことをとても嬉しく思う。







サーフィンのメッカであるこの場所で、サーフボードを作るチャンスはそうそうない。
VISSLA SHAPING SPACE はこの歴史的な場所の一部であったことを誇りに思っている。

Photo: Jeremiah Klien






彼の明るい笑顔と若さ溢れるエネルギーは凄く、それでいて決して押し付けがましくはない。彼のそばでは金色のカンナが舞い、一緒にボードを作り上げ、見物客がサインを求めていた。今回VISSLA SHAPING SPACE からプレゼントされる2枚のボードのうちの1枚は、ゲンによって最後のグラッシングまでされ、美しい仕上がりとなって私たちの前に現れた。



シェイパーの中では一番背が高い。彼はいとも簡単にシェイプし、素早く仕上げていった。ソフトウイング、スワロー、彼が大好きで熟知している形のボードを作った。彼のプレーナー技術を観察するのも楽しかった。シェイピングだけでなく、ボード作りとそれにまつわるディテールについて深く話し合った。




彼はセンスの塊。常に安定していてバランスが良い。それでいて最も愉快で自由な精神の持ち主なのだ。今回VISSLA SHAPING SPACE からプレゼントされる2枚のボードのうちの1枚は彼のボード。シェイピングにはさまざまなアプローチがあり、展示場での並べ方や順序までも。どのように見せるかを考える上でも彼から学ぶことは多い。






Liam O’Brien, Pipeline. 2024. Photo: Max Colvin







私が最も見てきたベテラン職人といえば、おそらくトラヴィスだろう。ボードビルダーであり、アーティストであり、家庭人であり。そして
やり手ビジネスマンでもある。トラヴィスにとって、海辺でシェイプすることは公園を散歩するようなものだった。彼は小さなボードを取り出し、いくつかのチャンネルを落としはじめ、ここがビーチであることを忘れてしまうほどスピーディーに作業していく。ひと段落してもコーヒーはまだ冷めていなかった。




アイデアも満載、道具の操作方法も全て見せてくれた。彼は我々と一緒に仕事をすることを熱望し、デザインのアイデアやコンセプトについて話し合うために数本ボードを用意した。それらの完成したボードを見ながら意見交換できたことは本当に素晴らしいことだった。



彼はKeoni Watsonのための非対称パイプボードを作成した。
つま先側を全体的にストレートにし、コンサバティブにロッカーへひねりを加えたシェイプ。
Keoniの為だけに考えられたデザインだ。





-------------
PIPE PRO 2024の『VISSLA’S 2024 SHAPING SPACE』
このボードがプレゼントされる発表を楽しみに待っている。





Photo: Jeremiah Klien 

SHERE